
小児外科を選んだきっかけは?
学生時代、実は小児や外科にはそれほど興味があったわけではなく、もともとは脳神経内科、いわゆる脳の内科医を目指していました。親も親戚も医者ではなかったため、「医者=内科医」というイメージが強く、近所のクリニックに行くときも内科の先生が身近な存在でした。そんな背景から、自然と内科医になりたいと思っていたのです。
そんな中、同級生に「小児外科医を目指して医学部に入った」という人がいて、彼の誘いで小児外科の食事会に参加したのが転機でした。そこにいた小児外科の先生方が、本当に楽しそうに人生を送っている姿が印象的で、仕事の内容はほとんど知らなかったものの、「こんなふうに明るく生きている先生たちと働けたらいいな」と思ったのが、小児外科を選んだ最初のきっかけです。
小児外科の魅力は?
実際に始めてみると、小児外科は非常に魅力的な仕事だと実感しました。医者家系ではない私にとって、外科の世界は未知でしたが、トレーニングを通じてその面白さに触れることができました。特に小児医療の分野は、男性にとって母性がない分、子どもとの接し方も手探りですが、仕事を通じて少しずつその魅力に引き込まれていきました。
私の場合、小児外科の魅力は、後からじわじわと膨らんでいった感覚です。きっかけは友人の誘いでしたが、今では本当にこの道を選んでよかったと心から思っています。
関西医大に赴任したきっかけと印象は?
私は東京の順天堂大学を卒業し、ずっと東京で小児外科のトレーニングを受けていました。そんな中、8年前に関西医大の教授公募があり、応募したところご縁をいただき赴任することになりました。
初めて枚方に来たとき、自然が豊かで、空が広く抜けている景色がとても印象的でした。大きな川が流れ、山々が見える風景は、東京では味わえないもので、「ここで働き、暮らすんだな」というワクワクした気持ちを今でも覚えています。
大学の雰囲気も、明るく穏やかな学生が多く、順天堂大学と似た空気感があり、とても働きやすく感じました。関西医大は関西2府4県のほぼ中心に位置し、各地から患者さんが集まりやすい立地でもあります。赴任して以来、この場所は本当に無限の可能性を持つ環境だと感じています。
チームに求める人材とは?
私は「いろいろな個性があってこそチームだ」と考えています。同じ方向を向いたチームは一見強そうに見えますが、実際には多様な人がいる方が豊かで、強い組織になると思っています。
チームをまとめる立場として、私の役割は皆を同じ方向に揃えることではなく、それぞれの個性や得意分野を活かし、チームの力として最大限に引き出すことです。ですから、「こういう人に来てほしい」という具体的なタイプはありませんが、欲を言えば「他人の気持ちに寄り添える優しい心」を持った人と一緒に働けたら嬉しいです。
医療は患者さんとの信頼関係がすべてですし、チームで動く医療現場では、看護師さんや技師さんとの連携も欠かせません。そんな中で、相手の立場に立ち、思いやりを持って行動できる人と一緒に、より良い医療を提供していきたいと考えています。
これからのビジョン
私が関西医大に来た8年前、チームは私を含め3名しかおらず、正直、診療を回すだけでも手一杯でした。しかし幸いなことに、「一緒に働きたい」と言ってくれる先生方が年々増え、今では8〜9名のチームに成長しました。
これからの目標は、関西で最も多くの小児手術を行うチームとして、最先端の医療を広く関西圏の患者様に提供することです。若い先生たちには、まず外科専門医、その後小児外科専門医の資格を取得してもらい、どこへ行っても通用する一流の小児外科医に育ってほしいと願っています。
働き方についても、私たちはいち早くオンオフのメリハリを重視し、当直明けは早く帰宅する、夕方には仕事を終えるといったスタイルを実践してきました。今後も、年間の手術数や外来数は適切にキープしつつ、チームの皆が医師としての充実と、プライベートの幸せの両立を叶えられる環境を作りたいと考えています。
目指すのは「技術も高く、みんなが輝き、人生を楽しんでいる」――そんな日本を代表する小児外科チームです。