胆道閉鎖症
(Biliary Atresia)
概要
胆道閉鎖症は、肝臓から腸へ胆汁が流れるみち(胆道)が閉鎖するまたは消失する疾患です。
肝臓で作られた胆汁は通常、胆道を通って十二指腸に流れ、脂肪の消化やビリルビン(黄疸のもと)の排泄に役立ちますが、胆道閉鎖症ではこれがうまくいきません。
その結果、黄疸が出ます。肝臓の組織に障害が生じ、早期から肝硬変が始まります。
症状
一般的な症状には以下のものがあります:
- 黄疸(皮膚や白目が黄色く見える)が退院後も続く
- 白色~黄白色の便(胆汁が腸に届かないことによる)
- 体がだるい、食欲不振
- お腹が大きく膨らむことがある
黄疸や便の色の変化は、出生後数週のうちに目立つことが多いです。
診断/検査
診断には以下の検査が使われます:
- 血液検査:ビリルビンや肝酵素の異常を確認
- 超音波検査:胆管や胆嚢の大小や肝臓の状態を評価
- 画像検査(MRI、核医学検査など):胆道の通過障害の有無を調べる
- 必要に応じて胆道造影、生検(肝組織の採取)を行うこともあります
症状と検査結果を総合して、胆道がどこまで閉塞しているかを評価します。
治療
胆道閉鎖症の治療は外科的な胆汁の流れの再建が中心です。
- 肝門部空腸吻合術(葛西手術):肝臓の胆汁が集まる肝門部に腸をつなぎ、胆汁が肝臓から腸へ流れるようにする手術
→ 胆道そのものを再開通させるものではなく、胆汁の新たな出口をつくる方法です。この手術により黄疸を改善することができれば、肝障害の進行を遅らせることができます。 - 手術後はステロイド大量投与による胆汁排泄を促す治療を1~2か月程度行い、黄疸が改善したら退院となります。
- 葛西手術で黄疸の改善が得られない場合や進行する重篤な肝障害がある場合は、肝移植が検討されます。
予後/見通し
胆道閉鎖症は早期発見・早期治療(できれば生後1か月以内)が極めて重要で、適切な治療により黄疸が改善し、自分の肝臓で成長していくことが期待できます。術後合併症で最も重要なものはつないだ腸の腸内細菌が管内胆管に逆流して起こる胆管炎です。この逆行性胆管炎を繰り返すと、肝硬変が早期に進行してしまう大きなリスクとなります。葛西手術が奏功した場合、肝機能を長期に温存できる可能性がありますが、成人期に入って徐々に不可逆性の肝硬変が進行し、やはり肝移植が必要となるケースがあります。
先天性胆道拡張症
概要
先天性胆道拡張症は、肝臓から腸へ胆汁を運ぶ管(胆管)が膨らんでいる状態です。この疾患の多くは、胆汁と膵液の通り道が十二指腸に辿り着く手前で異常な形でつながっている“膵胆管合流異常”が原因となっており、胆汁や膵液が混ざることにより、蛋白栓や石などができ、詰まりの原因になります。
症状
通常は無症状症状は年齢や病変の程度によって異なりますが、代表的なものは
- 腹痛や嘔吐
- 黄疸
- 発熱
- 白っぽい色の便(胆汁が腸へ十分に到達していない徴候)
- 腹部にしこりを触れる場合もある
乳幼児期や学童期に認められることが多いですが、近年では出生前の胎児超音波検査で発見されることも増えてきました。
診断/検査
- 超音波検査:胆管の拡張や膵胆管合流異常の有無を確認
- MRIやCT検査:胆管・膵管の形態や走行をより詳しく観察
- 血液検査:肝機能や胆汁成分の異常、胆管炎や膵炎の有無を評価
膵・胆管の合流異常があるかどうかの判定は、診断上極めて重要です。
治療
先天性胆道拡張症の基本的な治療は外科手術です
- 胆嚢を含む、拡張した胆管(肝外胆管)の可及的切除
- 残存した総肝管と、自身の小腸の一部をつなぎ、胆汁の流れを変える
- 小腸同士をつなぎ、食事+膵液と胆汁が合流できるようにする
この手術により、胆汁と膵液が混ざることを防ぎ、胆汁と膵液の流れを改善します。
当科では、最先端の腹腔鏡手術とda Vinci Xiを用いたロボット支援下手術のハイブリット手術を行っており、他の術式と比べて低侵襲かつ入院期間も短く、良好な手術成績となっています。
予後/見通し
手術後は胆汁の流れが改善し、症状が軽減することが期待されます。
しかし、胆管が完全に正常な状態ではないため、将来的には吻合部狭窄に伴う肝内胆管の拡張や肝内結石、胆管炎、膵炎、長期的な胆道がんのリスクなどの合併症が報告されており、成人期以降も定期的な検査と経過観察が推奨されます。

