肥厚性幽門狭窄症
概要
肥厚性幽門狭窄症は、生後1か月頃の男児に多くみられる病態で、胃の出口(幽門)にある筋肉が異常に厚くなり、胃の中の内容物が十二指腸側へ通過しにくくなり、激しい嘔吐を繰り返すようになります。
症状
- 授乳後に勢いよく吐く
- 体重の増え方が悪い
- 胃の出口が硬いしこりのように触れる場合がある
典型的には生後3-4週でこれらの症状が顕著になります。
診断/検査
- 身体診察:吐き方の特徴(噴水状)や腹部のしこりの有無を確認します。
- X線検査:消化管のガスの分布を評価します。
- 超音波検査:幽門筋の厚さや長さを評価し、狭窄の程度を調べます。
治療
抗コリン薬(アトロピン)投与による保存的治療もありますが、一般的にはなかなか効果が期待できず、外科的手術(幽門筋切開術)が治療の中心です。
激しい嘔吐に伴う脱水や電解質異常などを補正した後、手術をします。
予後/見通し
適切な治療により症状は改善し、食事や体重増加は正常化します。長期的な合併症は少なく、成長に大きな支障を残すことは極めて稀です。
腸重積
概要
腸重積は、小腸が大腸の中へ入り込むことで腸管が詰まる疾患です。
これが原因で腸閉塞や嵌頓腸管の血流障害を引き起こします。
症状
- 突然始まる波のある激しい腹痛
- 嘔吐
- 血の混じる便(イチゴゼリー状の血便)
- 腹部の張り
症状は急に強くなることが多く、病状の進行が早いです。
診断/検査
腹部単純X線検査や超音波検査を行います。
注腸造影検査で特徴的な(カニ爪様)サインがみられます。
治療
ショック状態など重篤な全身状態の悪化がなければ、まずは非観血的整復(当院では造影剤を用いた高圧浣腸) での治療を試みます。
高圧浣腸にて整復できない場合や絞扼(血流障害)、穿孔が疑われる場合には、手術的介入(観血的整復)が必要になる場合があります。
予後/見通し
ほとんどが非観血的整復にて治療が可能で予後良好ですが、3歳頃までは再発を繰り返すことがあります。8時間以上重積が続いた場合には血流障害が不可逆的となり腸管壊死に陥ります。壊死腸管は切除を余儀なくされ、人工肛門造設や腸管吻合術が必要となることがあります。
ヒルシュスプルング病
概要
ヒルシュスプルング病は、直腸およびそれに続く腸管に神経節細胞が存在せず、便意を催すことができず、肛門を開いて排便をする機能が障害されています。その部分の腸の動きがうまくいかないため腸閉塞や重度の便秘を起こす先天性の異常です。消化管の神経節細胞は胎齢5週〜12 週頃に、食道の口側の端に発生し肛門の方向へ順々に分布していきますが、この分布が途中で止まってしまうことがこの疾患の原因と考えられています。
症状
新生児期には
- 初めての便(胎便)が出ない
- 腹部の膨満
- 吐き気や嘔吐
といった症状が現れることがあります。慢性的な便秘をきたす場合もあります。
診断/検査
- 腹部単純X線検査や 下部消化管造影検査:造影検査では特定部位の腸が細く、正常部位と太さが異なることから病変を示唆します。
- 直腸粘膜生検:全身麻酔下に直腸の粘膜を一部切り取り、神経節細胞が欠如しているかどうかを顕微鏡で確認します。
治療
神経節細胞のない直腸を含む病変部腸管を切除し、正常神経節細胞のある腸を肛門側に繋ぎ直す手術が必要です。当院では全例鏡視下手術で行われ、小さな切開で治療が可能です。
予後/見通し
手術後は排便機能が改善する例が多いですが、便秘や下痢など腸の機能変化が残ることもあり、長期のフォローが大切です。
虫垂炎
概要
虫垂炎は、盲腸にある虫垂という部分に炎症が生じる疾患で、小児でも比較的よくみられる疾患です。
症状
新生お腹の痛み(特に右下)
- 発熱
- 食欲不振
- 吐き気や嘔吐
症状は徐々に進行することが多く、早めの診断が重要です。ことがあります。慢性的な便秘をきたす場合もあります。
診断/検査
- 診察・問診:腹痛の部位や動作で痛みが変わるかなどを評価します。
- 画像検査:超音波や造影CT検査で炎症の有無や虫垂の状態を確認します。
治療
治療の中心は虫垂の炎症を改善させることです。
当院ではまずは抗菌薬を用いて治療を行い(保存的加療)や、待機的に虫垂を取り除く手術(虫垂切除術:腹腔鏡手術)を行います。
保存的加療で症状が改善しても、およそ4人に1人が虫垂炎の再発することが知られており、ご家族と相談の上、今後の再発を予防する目的で虫垂切除術を行っています。
予後/見通し
治療後の経過は概ね良好で、合併症がなければ日常生活に戻ることができます。ただし、膿瘍形成や穿孔などの重篤な合併症がある場合は入院期間が長くなることもあります。

